家庭菜園から農家への記録

「有機JAS規格」ではリストに具体的な名称のない資材も使用可能

   

JAS有機の生産者としては何ら関係のない1個人ではあるのですが、
できることなら家庭菜園でも「有機農法(オーガニック)」としての、
基準はできるかぎり満たしていきたい。
しかしJAS有機を調べていくと調べていくほどに何を使って許容されるのかが分かりにくい。
それでも、実はリストアップされていない資材も、
有機農法では使用が認められていることがわかりました。

まず、大前提として私は家庭菜園者であって、
JAS有機生産者ではありません。

その為、本記述は誤り等が含まれている可能性があります。
素人ながらもJAS有機の認証範囲内で家庭農園を行う事を意識して、
個人的に調べたものです。

 

「有機JAS規格」ではリストに具体的な名称のない資材も使用可能

JAS有機規格の説明で以下のようなPDFが公開されています。

有機農業で使用可能な資材等(http://www.japan-soil.net/report/h22tebiki_04.pdf)
※http://www.japan-soil.net/は「一般財団法人 日本土壌協会」のサイトです。

この手引きには以下のように書かれています。

2.有機規格で使用が許容されて いる肥料と土壌改良資材

3)有機規格「別表1」の「その他の肥料 及び土壌改良資材」

(中略)

一方、有機JAS規格「別表1」の最後には「その他の肥料及び土壌改良資材」という
具体的な資材名がない項目がある。
これによりリストに具体的な名称のない資材でも使用することができるようになっている。

しかし、この項目に該当するとみなして使用する資材については
使用を可能とする範囲が制限されており、有機JAS登録認証機関は、
有機栽培農家からの問い合わせに対し、
一定の要件に該当するかどうかの判断が求められている。

農林水産省が平成22、23年度に実施する有機JAS適合資材のリスト化に当たって、
「その他資材」の内容まで明らかになれば、有機栽培実施者にとっても 朗報となろう。

さて、「その他の資材」に該当するとして、
使用を可能と判断するに当たっては、以下の条件を満たす必要があり、
第一義的には栽培者側での判断が重要となる。

  1. 別表1に記載された資材の使用だけでは、農地の生産力を発揮するのに不十分である場合に限る。 
  2. 肥料目的又は土壌改良目的で、土地や植物に与えられるものであること。 
  3. 天然物質又は天然物質に由来するもの天然物を燃焼、焼成、溶融、乾留又はけん化することにより製造されたもの並びに化学的な方法によらず に製造されたものに限る。組替えDNA技術を用 いて製造されていないもの。 
  4. 病害虫の防除効果を有することが明らかなものでないこと。 
  5. 化学的に合成された物質を添加していないもの。

 

有機生産農家の方などは、こうした曖昧な法規制の中で、
JAS有機認証機関に対して「一定の要件」を満たすことを訴求して、
使用の許否判断を求めているのだと思うと、

本当、有機農法というだけでは商品化ができない制度に、
さぞ苦労されているんだろうなと思います。

 

なんでこんな事に興味を持ったのか?

さて、なんでこんな事を調べたのかと言えば、
アブラムシ駆除に「ニームオイル」が非常に効果を発揮してくれたからです。

ネットではニームオイルは害虫駆除に効果あり!のような記述を見かけます。

私も確かに実感しました。

しかし、もし自分が有機JASの認定生産者だとしたら、

「このニームオイルが使用可能なのだろうか?」

という事なのです。

商品パッケージにはこのように書かれていました。

ニームは古来より薬木と言われ、IFOM(国際有機農業連盟)では、有機農業に使用できる天然素材になっています。

(引用)商品パッケージより

 

IFOM(国際有機農業連盟)と有機JASの認証の関係としては、
以下のような記述が見られます。

1993年、生産者と共に、資材の禁止基準だけでなく、有機農業の意味と目標を含めた包括的な基準を策定。 各国の有機農業運動にも歩調を合わせられるようにとわせられるようにと、(有機JAS認証は)IFOAM(国際有機農業運動連盟)の基礎基準と互換性を持つ。

(引用)有機農業の推進に関する全国会議 (2012年3月15日):有機JAS認証を利用した販路確保について|農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/convention/h23/pdf/s400.pdf)

 

「互換性をもつ・・・」 うーん曖昧。
相互運用ではないが、お互いに包含し合うような判断基準と言ったところでしょうか。

となると、成分としての「ニームオイル」はIFOAMに適合する資材ではあるが、
有機JAS認証の使用可能資材リストとしての別表1に明示された商品ではなく、
その他資材に該当するという事になります。

 

「その他資材」の使用要件としては前述の通り、
「4.病害虫の防除効果を有することが明らかなものでないこと。」と言う特記があります。

これは、病害虫等防除が目的で使用されるすべてのものは「農薬」として扱われる事となっており、

ニームオイルは、別表2(有機JAS規格の使用可能農薬)で、
使用が許可された農薬には認められていない事から、
農薬としての使用は認められていない位置づけになります。

 

JAS有機を意識してニームオイルを使うなら

商品パッケージに書かれている謳い文句はこうです。

アザディラクチン1500ppm含有

ニームの力
病害虫に強くなる

ダイコー ニームオイル

野菜 果物 葉がイキイキ!! バラに最適全植物用
《天然植物保護液》(原液)

(パッケージより引用)

 

「天然植物保護液」うーん曖昧っ!

 

その他資材として使うには・・・

「別表1に記載された資材の使用だけでは農地の生産力を発揮するのに、
不十分であり、肥料目的で植物に与えられる天然物質」として、
ニームオイルを位置づける必要がある(認めてもらう)という事になりますから、

口が避けても「アブラムシの忌避(防除)を目的として」なんて言っては、
農薬法でそもそもNGという事で、JAS有機以前の問題。

 

ニームオイルの搾りかすとしての「ニームケーキ」は、
土壌改良剤として使用されるものになりますので、
土壌改良目的としてとの理由を付けるか・・・。

やはり、

『農作物を「様々な外的要因(暑さ寒さ、風雨干ばつなど?)から強く」し、
活力を持たせる肥料目的として使用する必要がある』

といった形で許可を得るしかないのかな。。。

 

まぁ、そもそも「アザディラクチン」を謳い文句にしている以上、
以下のような効果を購入者は求めているだろうけども。。。

アザジラクチンは天然殺虫剤として合成化合物に取って換わるのに必要な基準の多くを満たしている。アザジラクチンは生分解性であり(光と水に曝らされると100時間以内に分解する)、ほ乳類に対する毒性は非常に低い(マウスに対するLD50は> 3,540 mg/kgであり実質的に無毒)。

(引用)アザジラクチン – Wikipedia

 

ちなみにアザジラクチンとニームオイルの安全性は、
食品衛生法で認められています。

 

それなのに「農薬としての指定を取る」ほどの業者がいないのは、
コストがペイできないからなのだろうか。
木酢液なんかと似た、グレーなものであるのがどこか気持ち悪いですね。

厚労省がサクッと認定してくれたら楽なのに。

ご興味がおありでしたら、ご使用をご検討されてはいかがでしょうか。

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